夏の砂の上

7.4 FRI 全国公開

オダギリジョー
髙石あかり 松たか子 森山直太朗 高橋文哉 篠原ゆき子/ 満島ひかり
光石研

監督・脚本:玉田真也
原作:松田正隆(戯曲『夏の砂の上』) 
音楽:原 摩利彦
制作プロダクション:スタイルジャム 配給:アスミック・エース
©️2025映画『夏の砂の上』製作委員会


第27回上海国際映画祭レポート第1弾【ワールドプレミア上映、Q&A、記者会見編】

6月13日より中国・上海で開催中の第27回上海国際映画祭のコンペティション部門に日本作品で唯一招待され、現地6月20日に行われたワールドプレミア上映、上映後のQ&Aと現地記者会見に、主演・共同プロデューサーのオダギリジョーさん、監督・脚本の玉田真也さんが参加!現地からレポートをお届けします。

この度ワールドプレミアとして、1000人を収容する大スクリーンで上映された映画『夏の砂の上』。上映中は笑いがおこったり、どよめきがあったり、息を静めて見守ったり、会場内の観客の皆さんが楽しみながらも集中して映画を鑑賞する空気が伝わってきました。上映終了後には拍手が起こり、会場で観客の皆さんと一緒に映画を鑑賞していた玉田監督が呼び込まれ、その後に、オダギリさんが登場すると、大きな拍手と声援で迎えられました。玉田監督は「尊敬している先輩監督たちの作品が上映されている映画祭に参加できて嬉しいです」と述べ、オダギリさんは「本当は皆さんと一緒に鑑賞したかったのですが、汗をかきすぎて、シャワーをあびて着替えに戻ったりしていたら間に合わなかった」と挨拶。MCからの質問の後、観客からのQ&Aでは、多くの観客が「私をあてて」といわんばかりに手をあげ質問を競り合う姿も見られました。

「治(オダギリ)と妻・恵子(松たか子)が終盤にやりとりするセリフ」について問われた玉田監督は、「原作にもあるセリフですが、治は息子を亡くしたまま、時が止まっている人。去ってしまう妻に対して、自分の痕跡を残したいと思ったのではと思っています。暴力的な言葉であるからこそ相手の中に自分を残したい、恵子に対して執着しているシーンだと解釈しました」と回答、そして「治というキャラクターをどのように演じたか」と問われたオダギリさんは、「最初から監督は、悲しい出来事がつまっている映画だからこそ、あまり暗く見せたくない、暗くなりすぎない芝居をしてほしいと言われました。人生は楽しいこともあればつらいこともある。治には、環境的にマイナスなことが増えたように見えるが、姪と過ごしたひと夏の経験が治を大人にして、少しだけ前を見て新しく自分の生活を始めていくんじゃないかと感じて、演じていました」と、本作から垣間みえる希望について語りました。 会場と一緒のフォトセッションも実施され、フォトセッション中もオダギリさんと玉田監督への声援が鳴り止まない中でワールドプレミアを終えました。

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会場を移動して行われた記者会見も、大勢の現地メディアがかけつけて多くの質問が飛び交いました。

上海の印象について問われたオダギリさんは、「ロウ・イエ監督の作品の撮影で3か月くらい上海で生活してとても楽しかった思い出がある。 古い町並み、西洋的なニュアンスが入っていて美しい街という印象です」と回答、つづいて共演された松たか子さんの印象を問われると「大きな括りで同世代、映画やドラマで一緒に戦ってきた大切な仲間だと思っています。結婚したのもほぼ同じ時期で、会うたびに『(結婚が)お互いよく続いてますね』とやりとりをしている。結婚っていうのは、思いやりと忍耐なんでしょうね」と語り記者たちを笑わせる場面も。

そして、玉田監督は「本作は『水』が映画の重要な要素になっていると思いますが」と問われると「ご指摘のとおり、水はとても重要な要素で、本作は、水害で息子を亡くした主人公が、水によって前向きになるという話。本来、水は人を生かすもの。でも人を殺すものでもあります。また、長崎の雨を飲むということには意味があり、原爆が落ち、放射能を含んだ雨を「死の雨」といって、生命にとってなくてはならない水が、人を殺してしまうものにもなる。水には2つの意味が含まれています」と語り、この映画が長崎を舞台にしている意味にも触れました。

公式上映から記者会見までを無事に終えたオダギリさんは「観客、現地メディアの方々が、しっかりと映画を観てくれていることが分かる質問ばかりでうれしかった」と話し、玉田監督も「芯をくった質問をしてもらって、ここではじめてお話しできたことも多く、すごくいい場でした」と括り、会場を後にしました。

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クロージングセレモニーと授賞式は6月21日(土)に行われ、レッドカーペットと授賞式には、オダギリさん、玉田監督に加え、髙石あかりさんも駆けつける予定となっています。

現地からの続報をお楽しみに!