夏の砂の上

7.4 FRI 全国公開

オダギリジョー
髙石あかり 松たか子 森山直太朗 高橋文哉 篠原ゆき子/ 満島ひかり
光石研

監督・脚本:玉田真也
原作:松田正隆(戯曲『夏の砂の上』) 
音楽:原 摩利彦
制作プロダクション:スタイルジャム 配給:アスミック・エース
©️2025映画『夏の砂の上』製作委員会


完成披露イベント無事終了!【オフィシャルレポート】

映画『夏の砂の上』の完成披露イベントが6月17日(火)に開催され、主演のオダギリジョーさん、髙石あかりさん、松たか子さん、満島ひかりさん、森山直太朗さん、高橋文哉さん、光石研さん、玉田真也監督の計8名がそろって舞台挨拶に登壇いたしました!

撮影当時のエピソードやフリップトークで大盛り上がりだったイベントの様子をお届けします。

本作で主演に加えてプロデューサーにも名を連ねていらっしゃるオダギリさん。MCから経緯を聞かれると、「いまの時代を考えると、原作がアニメや漫画でもなく、作家性の強い作品で、なかなか簡単に進むタイプの映画ではないんですが、すごく良い脚本なので、この作品が『お金が集まらなくて作れませんでした』ではもったいないと思いました。また、この作品が醸し出している2000年代初頭の日本映画の雰囲気を身をもって経験した自分だからこそできる作品づくりがきっとあると思いました。この2つの側面からプロデューサーとして入らせていただきたいと思いました」と、本作にかける思いを語ってくださいました。

玉田監督がシナリオハンティング(シナハン)のために長崎を訪れた際には、オダギリさんも同行したようで、当時のことを振り返り、玉田監督は「まだプロデューサーという形ではない段階で、主演でオファーをさせていただき、出演していただけることになって、シナハンに行くことになったんですが『オダギリさんも来るらしい』という話を聞いて『マジか!?』と思いました。僕にとって、オダギリジョーという俳優は、2000年代初頭に自分が見ていた面白い邦画にだいたい出ているような印象で、すごく特別な俳優でした。その人と主演と監督として一緒にやれるというだけで嬉しいんですが、まさかつくる過程まで一緒にやってくれると思ってもなかったので、特別な体験でした」と驚きと喜びを口にされました。

オダギリさんはまた、自身のプロデューサーとしての参加が、この豪華な俳優陣の皆さんが出演を決めるための説得材料になればとの思いもあったと明かし、オダギリさんが演じる治の妻・恵子を演じる松さんは、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」以来のオダギリさんとの共演について「嬉しかったです」とニッコリ。そして「オダギリさんとはほぼ同世代ですが、いろんな作品を経験されてきたオダギリさんが、手に取って、興味を持った台本ってどんなだろう? というのが、惹かれた理由でもあります」とまさにオダギリさんの存在が出演の決め手になったと明かされました。

一方、オダギリさん演じる治の妹で、髙石さん演じる優子の母である阿佐子を演じる満島さんは、意外にもオダギリさんとは初共演だったようで、「最初に脚本を読んで、大爆笑したのを覚えています」と明かしました。「いまの時代にこれを撮るの? すごいなって思いました。私が九州の出身なので、(作品から)匂い立つものや出てくる人たちのキャラクターが、親戚や近所のおじちゃんたちと重なるところがありました。田舎の若い恋愛って、こういう何とも言えない話をみんなしてたな…とか、いろんな情景が浮かんできました」としみじみと語り、自身の役柄についても「こういう役が私にも来るようになったか…と思いました」と感慨深げな様子でした。

森山さんは、オダギリさんから「この役に説得力を持たせられる人は森山さんしかいない」と直々にオファーされたことを明かし、「率直にビックリしました」と述懐。「心してかかんなきゃという緊張感と、風のうわさでオダギリさんが毎晩、お酒をたしなまれて、出演者やスタッフとしっかりと“飲みにケーション”をされると聞いて、それが本当に怖くて…(苦笑)」と当初、感じていたという不安を明かしつつ、実際に撮影期間中は合宿のように全員が同じホテルに宿泊し、そのロビーではオダギリさんが“ママ”となって、みんなが「スナックジョー」と呼ぶ親睦の場が毎晩、繰り広げられていたとか!森山さんは「映画の現場は初めてで緊張していましたが、お芝居じゃない時間帯にそうやってほぐしていただいて感謝しかないです」と語りました。

髙石さんはオーディションを経て優子役に決まりましたが、「オーディションの段階で、オダギリさんと松さんが出ると聞いて『絶対に出たい』と思いました。でもオーディションで監督たちとお会いして、個人的に『あ、落ちたな…』と思っていたので、マネージャーさんから電話で(出演を)聞いた時はびっくりしました」と率直な思いを明かす。この日の登壇陣とは本作が初共演だったが、母親役を演じる満島さんと最初に撮影前に顔を合わせたそうで「とにかくお会いしたくて…(会って)緊張するかと思ったんですが、満島さんが放つオーラやパワーで包んでいただいて、緊張というよりも楽しい時間になりました。撮影でも、のびのびと自由に演じさせていただきました」と充実した表情で語ってくれました。

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さらにトーク後半では、映画にちなんで登壇された皆さんに「心に沁みたこと」を発表いただきました!
光石さんは「長崎ロケでの撮影スタッフ」と書かれたフリップを掲げ、坂の多い長崎の街での撮影について「撮影を行なったおうちも車が通れないので歩いて登るしかないところで、スタッフは機材を手持ちで運んでいました。それを見て心に沁みました」と明かしました。

玉田監督のフリップには「猫」の一文字。撮影が行われた街には猫が多くいたそうで、映画にも画面の中に自然と猫が入り込んでおり、街で暮らす猫たちが画面に映ることで「映画に長崎の街が染みこんでいくような感じがしました。猫がすごく良い芝居をしています」と嬉しそうにうなずかれていました。

高橋さんは「高校の同級生」と書かれたフリップを見せながら、映画の中で立山が友人たちと遊ぶシーンに言及し「僕自身が高校生の頃、同級生と仲良くなるためにしていたダーツやカラオケといった遊びをお芝居でするのが初めてでした。(劇中では)飲み会の場に、想いを寄せる女の子がいて、うまくいったり、いかなかったりというのがすごくもどかしくて…お芝居をする感情として心に沁みました。(完成した)映画を観ても、独特の雰囲気があって、そのころのことを思い出したりして、青春時代とリンクしました」と懐かしそうに語ってくれました。

「8歳の甥っ子 九州から東京へひとり旅」と書かれたフリップを見せたのは満島さん。先日、九州で暮らしている甥っ子がひとりで東京に遊びに来たというエピソードを明かしつつ「私も13歳でひとりで上京したんですけど優子も親元を離れて、置いて行かれますが、両親や家族がいない中で、少年時代や少女時代に経験することってすごい経験になるよな…と甥っ子の姿を改めて見て思って、心に沁みました」と明かしました。

撮影期間中も満島さんと髙石さんは顔を合わせては交流を深めたとのこと。満島さんは「ちょうど、あかりちゃんの成長が見られる撮影の順番で、(阿佐子が優子を)預けに行くときと迎えに行くときで、顔つきが変わっていました」と嬉しそうに目を細めつつ「オダギリさんは同じでした(笑)」とオチをつけて会場は笑いに包まれる一幕も(笑)

髙石さんは「長崎にて、満島さんと」と書かれたフリップを掲げ、撮影の休みの日に満島さんと長崎を巡った思い出を告白。「カステラを食べたり、釜めしをいただいたり、買い物に行って、満島さんがバッグを買ってくださったり…沁みる一日でした」と笑顔を見せられました。

松さんが撮影期間中に心に沁みたこととして挙げたのは「月が赤かったこと」。「月が赤くて、大きくて、夕日も赤くて…でも、長崎に暮らしているひとからすれば、それは普通の景色で、私にとって特別だと思ったことが、そこで暮らして生きている人には普通の光景だってことが沁みます」と含蓄のあるコメントとともに思い出を語ってくださいました。

そんな「松さんの浴衣姿」が心に沁みたと明かすのは森山さん。先ほどの話にも出たホテルのロビーを「お風呂上がりの松さんが、浴衣を着られて、映画のワンシーンのような感じで颯爽と通られるんです。それを羨望のまなざしでみんなが見ていました。ビチョビチョの松さんが…(笑)」と語り、松さんは「なんか幻を見てますよ…」と恥ずかしそうに苦笑いを浮かべていました。

そして、トリを務めるオダギリさんのフリップには「心に沁みた!」という謎の言葉が書かれていましたが、オダギリさんは「僕が心に沁みたなと思ったのは、満島さんの甥っ子の話でした」となぜか自身のエピソードではなく、共演陣の発表から拝借。そんなオダギリさんに髙石さんや他の共演陣からは「ズルい!」との非難の声が上がり、これにはオダギリさんも「こんなに引かれますかね…? そんなにヤバい?」と困惑の様子でフリップトークは幕を閉じました。

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最後の挨拶では、キャストを代表してマイクを握ったオダギリさんは「この舞台挨拶で、みんなにこれだけ嫌われると思ってなかったです(笑)」と冗談を挟みつつ、改めて劇場に足を運んで映画を観るということの重要性を強調され、「僕と作品は別物なので(笑)、作品はしっかり愛していただけたら」と呼びかけていました。

玉田監督も「こんなに素晴らしい俳優の人たち・・・僕自身もいろんな映画やドラマで観てきた『いつか一緒に仕事をしたい』と思っていたみなさんに集まっていただき、そのみなさんの芝居に負けないようにと、ベストを尽くして作ったので、きっと面白い映画になってると思います!」と力強くアピールし、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じました。

映画は7/4(金)より全国公開です。ぜひ、ご期待ください!